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ココシリ/可可西里



STORY
危険な山岳パトロールの仕事の実態を取材するため、チベット高原の山岳地帯にやってきたジャーナリストのガイが目にしたのは、密猟者の一味に殺害されたパトロール隊員の葬儀だった。やがて隊に同行して取材を開始したガイは、知られざるココシリの地で密猟者と山岳パトロール隊の激しい戦いを目の当たりにする。
 
REVIEW
涙は出ない。
見終わった後ただ言葉も出ず、ただただ心が震えた気がしますた。

ココシリとはチベット語で「美しい山」モンゴル語で「美しい娘」という意味だそう。中国南部、チベットを臨む青海(チンハイ)省にあり今では中国最大の自然保護区に指定されている。言葉通り美しく壮大なココシリの景色、そしてそこは人を拒絶するかのように厳しい秘境。

実話を映画化した作品でココシリが自然保護区に国定されるに至るまでを描いた作品。メインで出ている俳優以外は素人だそう。しかし、そんなこと思えないほど顔つきが素晴らしい。そして厳しいロケが功をなす壮大な景色に圧倒される。

物語は1990年代にチベット標高4.700mに位置するココシリで生き、チベットカモシカの密猟者と戦った私設山岳パトロール隊の男たちの17日間の物語。
先祖から受け継がれココシリという土地に誇りを持ちながら生きる民族と密猟者の攻防。人の愚かさと尊厳、死、そして自然の美しさと恐怖が描かれていますた。こんなにも力強い作品はめったにないと思う。

衝撃的な場面が展開。物語は密猟者を追うパトロール隊の日々が記者ガイの目線で綴られている。

冒頭、リータイ率いる山岳パトロール隊の仲間の一人が密猟者に殺される事件が発生する。その場面はあまりにも強烈な始まり。何の感情も見せず人が人を殺す、まるで虫を殺すように。そこがリアルに人の怖さ、残忍さ見せ付ける。
そして、その死者は山岳パトロール隊の仲間の元へと戻り鳥葬される。その射殺事件の取材にやってきた都会育ちの記者ガイは鳥葬される死者に目を背ける。そりゃそうだ、初めて目にするその生々しさはきっと生き方がまるで違う人には理解しろと言うほうが無理だろう。
ガイの拒絶する表情にリアリティを感じ、民族の生死に対する理念を映す姿、冒頭から衝撃的でこの物語に引き込まれてしまう。

密猟者を追うその初日、パトロール隊の家族や恋人は悲しみを浮かべ涙を流しながら彼らを見送る。何故そんなにも悲しむのか凄く疑問に感じる。だけど、一日一日と日が経つにつれ、その意味が理解できる。
きっと残された者達が止めたくても止められないのは、命を懸け戦う彼らを自分の感情だけで止めることは出来ないという事を知っているからだと思う。

途中、密猟をしている集団を捕らえる。また彼らも生きるため、密猟をするしか生きる術がない人たちだ。そこにやるせなさと現実の厳しさと人の愚かさがあった。そしてパトロール隊はその集団と行動を共にする。物語が進むたび状況は過酷を極める。
結構、衝撃的なシーンが多々ある。生のウサギを食するシーンとかその生々しさが厳しい状況を上手く映しているようだった。

人もなく、金もなく、銃すら不足しているパトロール隊は密猟者から取り上げた毛皮で金を集める現実。その矛盾さ、やりきれない思い、綺麗事では片づかない。
また、隊長のリータイは何度か非情な決断を下す。そこには生死が関わる状況下で置かれた時、人は非情にもなる事も描かれていた。それは残酷な答えだ。そして人の限界を知る。でも、誰がその決断を責められるのだろう?
せめて出来ることは祈ることしかない、「神のご加護を」と。人は無力な事を知る。
パトロール隊の一人、リウが自然に呑みこまれる場面に容赦ない自然の脅威を目の当たりにし、リータイの最後にやりきれない思いが残る。

このチベットのココシリに生きる民族の受け継がれた山を愛する心とか生き方は、日本で生まれ育ったわしには本当の意味でどれほどの文献を読んだとしてもその価値観は解ることは出来ないだろうし、過酷な生き方もできない。
あんな過酷で何もかも犠牲にしてまで、そこまでして守らないといけないものって一体なんだ?と正直、思ってしまう。だけど、その土地で生まれ育った人にしか解らない生き方や価値がきっとあるんだと思う。

物語は最後の最後に少しだけ救われる。そして見終わった後、今この時代を生きる人間として考えなければいけない事があるんだと感じますた。
ラストに向かうにつれ悲しいほど残酷な姿が描かれていく。衝撃的な展開に目を見張るばかりだった。美しい自然と驚異を目に焼き付けさせ、それに反するように人の愚かさを見せつける。そしてあっけないほどに物語は幕を閉じる。だが、そのあっけなさと虚しさが現実に起こった出来事だということを真摯に教えてくれている気がしますた。

大自然の前で人間ってなんてちっぽけで愚かな存在なんだろうと打ちしがれてしまう。だけど、パトロール隊のように命を懸けた男達も確かにいた事も知った。そして人は代償を求めず自らの命を犠牲にしてまで誇れるものが一体どれだけあるんだろう・・・そんな事をふと思いますた。



2006年/中国・香港
監督:ルー・チューアン
出演:デュオ・ブジエ/チャン・レイ/キィ・リャン/チャオ・シィエジェン

Comments

natsuさん> 
natsuさんもご覧になりましたか。
凄い衝撃的な作品でした。最初から最後まで目が離せない展開でしたね。
特に仲間を助けに戻ったパトロール隊の一人が砂漠に呑み込まれるシーンが衝撃的でした。

もう、物凄く考えさせられる映画でした。
人間ってホント勝手な生き物だなぁって思いましたね?。でも半面、そうじゃなきゃ生きていけない不甲斐なさも感じてしまいました。

自然の素晴らしさと厳しさを目の当たりにした感じです。
natsuさんのおっしゃる通り、こういう映画もどんどん上映して欲しいですよね?。
こんにちは。 
この映画は去年見たんですが、かなりの衝撃をうけました。
人間って本当に勝手だなぁと思いつつ、そうしないと生きていけないのが悲しくて怒りも感じるんですけど何とも言えない気持ちになりました。
自然も素晴らしいですよね。美しくて広い自然の中では人間は本当に小さな存在なんだと思いました。でもそんな自然も人間がどんどん壊していってるんですね。。。
いろいろ考えさせられたんですが…う?ん言葉で表現するのは難しいので、とにかく見て!と言いたい映画です。こういう映画も映画館で見れたらいいのにと思いました。

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