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スリ/文雀 Sparrow

sparrow

STORY
ある朝、スリのリーダーのケイの部屋に1羽の文鳥が迷い込む。窓から逃すが再び入ってきてしまう。これは…良い知らせなのだろうか…それとも悪い知らせなのだろうか?ケイが街中の階段で趣味の写真を撮っていると、フレームの中に綺麗な女性が入り込んできた…何者かに追われているかのように後を気にして走り去る女性に興味を惹かれた。他の3人の前にも謎の女性が現れる…。

 
REVIEW
ようやく日本語字幕で鑑賞できますた。文雀とは文鳥の他に"スリ"の意味合いもあるそう。
だからといって日本語タイトル短絡的すぎないかい?と思いつつ、そこは置いといて。
いやぁ、良かったです。かなり。
個人的に好きなジョニー・トー作品なので期待しながらの鑑賞でしたが、想像以上の出来。


決して大作とは言えないんですけど、いいんですよねぇ。
物語はスリを生業にしている4人の男たちが美女と出会い巻き起こる騒動を描いている。
いつもの重厚な男の世界観を描くジョニー・トー作品とはちょっと違う。
だけど、軽快で少しスリリングで懐古的な印象も感じる小気味いい物語。


冒頭、ジャケットのお直しをしているケイ(サイモン・ヤム)の部屋に舞い込む文鳥の演出ですでにこの映画の世界に引き込まれますた。
前半のスリの場面も4人の役割とか立場とかチームワークで見せていて楽しめる。

この映画、何だかこの場面に留まらず美しいんですよ、ひとつひとつの場面が。
文鳥の場面だけでなく香港の街並みやアパートの階段の螺旋の角度とか、スリのシーンですら美しい映像で一コマ一コマに拘りを感じる。

音楽も効果的でそれが物語自体にリズムを感じる。
フランス映画を観ているような雰囲気の中に少しの中華的要素が交わって、それが緊張にも安堵にも上手く作用している。
映画の中で音楽が重要だなぁってのを凄く感じますた。


大きく物語が展開する内容ではない。コマをゆっくり進めていくような部分もある。
一歩間違えば退屈しそうなシーンなのに、ちょっとした捻りと演出で面白くスタイリッシュに仕上げてしまう。そこがこの監督の恐ろしさだなぁと感じる。
セリフも説明も無駄は一切省いて、現状も情景をも残していく。

登場人物もどこか間の抜けた雰囲気で、そこが何とも可愛らしい。
大人の男が4人で自転車に乗る場面も印象的で、ほんわかしてしまう。
ヒロインのチュンレイ(ケリー・リン)がズルイ女だけど不器用で小悪魔なのがまたいいんだよねぇ。だからこそ、4人の男もパトロンも彼女に恋してしまう。
今回、敵役であるチュンレイのパトロンも愛らしい部分が感じられる。
とにかく登場人物が皆、潔く魅力的なんだよねぇ。


特にスリのリーダーであるサイモン兄さんが、かなり好印象。
いつものサイモン兄さんは強烈な役が多い。今回はそれとは正反対な控えめな役だけど、この引きの演技がかなり良かった。佇まいがいい。
自転車に乗ってカメラを片手に実に楽しそうに街を闊歩する。しっかりした雰囲気を漂わせながらどこか子供のようで飄々としている。物凄くケイという人物を魅力的に演じているんだよなぁ。


雰囲気は淡々としながらも引き込まれる面白さを継続しつつ展開する。
そして、クライマックスの"雨と傘"のシーン。もう、ここが恐ろしくカッコいい。
ほとんど無音でセリフもない結構長い場面。なのに傘の配列や滴る水飛沫が芸術的で、そこに面白さも情緒も美しさも映し出す。そして、勝負の行方。
もう、粋なんだよねぇ。その一言に尽きる。


ジョニー・トー監督は変わりゆく香港の街並みを残そうとこの映画を撮ったのだそう。途中中断もあって、4年の歳月を掛けた映画だ。
その4年の間ですら街は急速に変わっていったのだと思う。それでも、フィルムに残した映像はとても美しくノスタルジックな気分を引き出す。

時は流れ、街は変わり人も変わる。
だけど街のかたすみに取り残されたものには建物であれ人であれ忘れてはいけないものもある。今は悲しいかな、それすらも無くなりつつあるんだけど。

上手く説明できないけど、この映画を観ると大事な忘れ物を捜しにいくような感覚に陥る。
どこか懐古的でロマンティックで美しい世界。いつもの濃い世界観ではないけど、ここでもジョニー・トーの美学がぎゅうと詰まっていた。
良いものに大作も小作もない。良いものは良い。そう思える。

あっ、でもこの作品日本語字幕じゃなくても十分楽しめる作品だと感じますた。
オススメです、ハイ。



2008年/香港
監督:杜[王其]峰(ジョニー・トー)
出演:任達華(サイモン・ヤム)、林熙蕾(ケリー・リン)、林家棟(ラム・ガートン)、盧海鵬(ロー・ホイパン)、羅永昌(ロー・ウィンチョン)、張満源(ケネス・チャン)、林雪(ラム・シュー)
テーマ : 香港電影    ジャンル : 映画

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